賈島の詩「清明日園林寄友人」に思う

      清明日園林寄友人

       賈島

今日清明節,園林勝事偏。

晴風吹柳絮,新火起廚煙。

杜草開三徑,文章憶二賢。

幾時能命駕,對酒落花前。

 

今日は清明節ということで、仲の良い友人たちと優美な庭園でささやかな集まりをしている。 空は晴れ渡り、柳絮が春風に吹かれている。人々が厨房で新たな火を起こし料理をする煙が立ち上っている。

杜若(カキツバタ)が開花して暫く経つが、今日、ここに集うことが叶わなかった君たちの文章を読んで、君たち2人の賢人の境遇に思いをいたしている。

君らはいつになったら車で駆けつけることができるだろうか、花が散る前に共に酒を飲みたいものだ。

 

「清明日園林寄友人」は、唐代の詩人賈島の五言律詩。

この詩は、清明節に共に集うことができなかった友人にあてて書かれた詩です。

詩人と友人の関係など、詳細はわかっていません。

 

詩の前半では、清明節に数人の友人たちと穏やかな小宴を楽しむ様子が描かれます。

この日、空は晴れ、春風に柳絮が舞います。寒食節(清明節の2~3日前に行われる節句、家ごとに火を使わず、あらかじめ用意しておいた冷たい食べ物を食べる)が過ぎて、人々は厨房の竈に新たな火を起こし、おいしい料理を作っています。詩人も友人たちとの酒宴を楽しみます。

しかし、後半では、この日、宴に集うことができなかった友人に思いをいたします。

今日、共に酒を酌み交わすことのできないやるせない思いとともに、今後彼らの境遇が好転し、一緒に酒を飲むことができるようになる日が早く来ることへの期待が詠われています。

詩人の友の境遇を案じる切ない思いが伝わってくる詩です。

 

参考: https://so.gushiwen.org/shiwenv_522c8a4a27b9.aspx

 

 

放りても投げ返されぬ言葉なら飲み込むが良しワインと共に  cogito

 

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