白居易の詩「清明夜」に思う

   清明夜
        白居易

好風朧月清明夜,碧砌紅軒刺史家。

獨繞回廊行複歇,遙聽弦管暗看花。

 

清風そよぎ、月朧なる清明の夜、私は青く切り出された石と赤い欄干のある刺史の邸宅にいる。

回廊を独り歩き、時に佇めば、遠くから弦楽器の音色が聞こえ、暗くなった庭に花々が咲いているのが見える。

 

「清明夜」は、唐代の詩人白居易の七言絶句。

この詩は、独り静かに清明節の夜を堪能する姿が描かれています。

 

詩人は、爽やかな春風を肌に感じ、朧にかすむ月を眺めながら回廊を独りそぞろ歩きます。遠くから聞こえて来る弦楽器の音に耳を傾け、ほの暗い庭園に咲き誇る花々を愛でます。

独り五官を澄ましながら、春の夜を静かに満喫する詩人の姿と心の内を想像することができます。

 

白居易は多作な詩人であり、唐代の詩人の中で最も多くの詩を残しており、詩の内容も多彩です。中でも、日常のささやかな喜びを主題とする「閑適詩」を得意としました。

平易で通俗的な詩風は一貫しており、伝説では詩を作るたび文字の読めない老女に読んで聞かせ、理解できなかったところは平易な表現に改めたといわれています。

 

参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_7ed8dec42e1a.aspx

 

 

  水打ちて清められたる露地を行く心に染みる南天の紅   cogito

 

 

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