杜牧の詩「江南春」に思う

    江南春

          杜牧

千里鶯啼綠映紅, 千里 鶯啼きて 綠 紅に映ず,

水村山郭酒旗風。 水村 山郭 酒旗の風。

南朝四百八十寺, 南朝 四百八十寺,

多少樓臺煙雨中。 多少の樓臺 煙雨の中。

 

果てしなく広い江南の一帯に鶯が啼き、若葉の緑が紅い花に照り映えている。

水辺の村や山沿いの町では酒屋の旗が風にはためいている。

南朝時代に、四百八十の(多くの)寺が建てられたが、

今、その多くの伽藍が、霧雨の中に霞んでいる。

 

「江南春」は、唐代の詩人杜牧の七言絶句。

この詩は、江南(長江の南岸一帯)の春を描いたものです。

詩人は、わずか4行28文字の中で、広大な江南の春を、軽快な言葉で鮮やかに意欲的に描いており、深遠な美しい雰囲気を表現しています。

詩人の心の中にある江南の春のイメージと南朝時代への懐古の念が重層して作り上げられた世界を味わうことができます。

超越的で飄々とした美学が感じられる詩です。

 

参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_33cbdb2cf9b3.aspx

 

 

霾りて視界のきかぬ春の午後電話の声の冴へて響けり   cogito 

 

 

 

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