張籍の詩「春別曲」に思う

   春別曲  張籍

長江春水綠堪染,蓮葉出水大如錢。

江頭橘樹君自種,那不長係木蘭船。

 

長江の春の水は緑に染まり、その濃さは染料にもできそうです。水中に出てきたばかりの蓮の葉は銅銭ほどの大きさになっています。

当時、川岸にあなたが自ら植えた橘の木は、(あなたを遠くに連れて行く)船をつなぎ止めるほどには大きく育っていません。

 

「春別曲」は、唐代の詩人張籍(767?-830?)の五言絶句。

この詩は、江南の晩春の情景を詠んだものです。

 

前半の二句で、晩春の美しい景色が写実されます。長江の水の緑色がいよいよ深まり、水中には蓮の葉が出始めています。

後半の二句では、過ぎ去ろうとする春を惜しむ心情が詠われます。川岸に立つ橘の木も大きくはなったが、過ぎ去ろうとする春を留めおくほどには育っていません。この美しい春の季節をいつまでも留めておくことはできないという詩人の惜春の思いを汲み取ることができます。

 

 張籍は、韓愈の門弟といわれ、賈島孟郊などとよく唱和しました。盟友の王建とともに七言楽府に優れた作品を発表して「張王」と併称されます。

 

参考:https://www.gushiwen.org/GuShiWen_9264622b03.aspx

 

対面の森の緑の吐く息は学生服のにほひに似たり   cogito 

 

 

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