杜牧の詩「歎花 / 悵詩」に思う

歎花 / 悵詩    杜牧

自是尋春去校遲,不須惆悵怨芳時。

狂風落盡深紅色,綠葉成陰子滿枝。

 

自分は春を尋ねて行くのが遅くなってしまったが、花が咲くのが早すぎたと怨めしく思い嘆くこともあるまい。

激しい風が深紅の花を吹き落としてしまったが、緑の葉が生い茂って陰を作り、その陰にはたくさんの実が付いているではないか。

 

「歎花」は、唐代の詩人杜牧の七言絶句。

この詩は、花見に行くのが遅くなって、花の美しい時期を逃してしまったことを詠ったものです。

この詩には、物語があります。

《唐阙史》や《唐摭言》の記載によれば、杜牧は、友人とともに湖州に遊んだ際に、年は十余歳と思われる女の子を見初めます。杜牧は、その母親と十年経ったらこの女の子を娶ることを約します。その後14年経って、杜牧は湖州刺史として赴任しますが、その時にはその女の子はすでに他の男性に嫁ぎ、2人の子供をもうけていることを知るのです。

この話の信憑性は定かではありませんが、この詩は、花の時期を逃したことに対する嘆きに仮託し、男女間の情を詠んだものとも言えそうです。

詩人は比喩を使いながら複雑な心情を表現しており、深い味わいのある詩となっています。

 

参考:《唐诗鉴赏辞典 新一版》2013年,上海辞书出版社,1207-1208页

https://so.gushiwen.org/shiwenv_50baaefb4e33.aspx

 

 

一年後ひと月先さへ見へなくて手探りつづく春霞の日  cogito

 

 

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