韓愈の詩「晚春二首·其二」に思う

晚春二首·其二

            韓愈

誰收春色將歸去, 誰か春色を收めて將に歸り去り

慢綠妖紅半不存。 慢綠 妖紅 半ば存せず。

榆莢隻能隨柳絮, 榆莢 祗だ能く柳絮に隨い,

等閑撩亂走空園。 等閒 撩亂 空園 を走る。 

 

誰がこの春色を納めて立ち去ろうとしているのだろうか。

薄緑の柔らかな若葉は開き、妖艶な紅色の花々はすでにほとんどが散ってしまった。

風が吹けば楡の莢が、柳絮に付き従うように空中を飛び回っている。

 

「晚春二首·其二」は、唐代の詩人韓愈 の七言絶句。

この詩は、晩春の風景を擬人化して描くことを通して、人生の哲理を説いた詩です。

 

最も美しい春の風光は過ぎようとしています。

木々が芽吹き、柔らかく初々しかった黄緑色の若葉は、大きく濃い緑の葉になっていきます。鮮やかに紅く彩っていた花々はほとんどが散ってしまいました。

風に吹かれて楡の莢が柳絮(白い綿毛をもった柳の種子)とともに空中を舞い、次の世代に命を繋ごうとしています。

これは自然の法則であり、誰もそれに逆らうことはできません。そして、人もまた同じです。

 

詩人は擬人法の手法を採りながら、惜春の情を表すと共に、人生の儚さと素晴らしさを詠っています。

自然と同じく人もまた、時を捕まえて自分らしさを発揮し、素晴らしい人生を創造していきたいものです。

 

参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_46139f3e2f32.aspx

 

 

生む生まぬ生みたい生めないこだわりを捨ててひとりの人となりけり  cogito

 

 

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