杜牧の詩「即事」に思う

     即事

    杜牧

小院無人雨長苔, 小院人 無く 雨 苔を長じ,

滿庭修竹間疏槐。 滿庭の修竹 疏槐に間る。

春愁兀兀成幽夢, 春愁兀兀として 幽夢を成し,

又被流鶯喚醒來。 又た 流鶯に喚び醒まし來らる。

 

雨が降った後の小さな庭には、人の気配がなく、苔むしており、庭中の長く伸びた竹の間に槐がまばらにまじわっている。

春の愁いは漠然たる夢と化し、それがまた枝から枝へと飛び移りながら啼く鶯に呼び覚まされてしまう。

 

「即事」は、唐代の詩人杜牧の七言絶句です。

この詩は、春の風景を見ながら春愁を詠んだものです。

 

詩人は、雨上がりにひとり苔むした小さな庭にたち、青々と伸びる竹とまだ花をつけない槐の木を眺めながら、春の愁いを感じます。しばし、夢のような愁いの中に沈溺していると鶯が啼き、現実に引き戻されるのです。

 

華やいだ春の日にも、ふともの悲しさを感じる時があります。

ことに雨が降り続いた時などは、温かさと湿り気を帯びた空気が愁いを誘います。

詩人の愁いがどこから来るものだったかは定かではありませんが、思わず共鳴してしまう詩です。

 

https://so.gushiwen.org/shiwenv_7642dc0ed401.aspx

 

 

何者になりたくて我生きてをりカストラートの声を聞きつつ  cogito

 

 

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