楊巨源の詩「城東早春」に思う
城東早春
楊巨源
詩家清景在新春,綠柳才黃半未勻。
若待上林花似錦,出門俱是看花人。
詩人が愛してやまない清新なる景色は、まさにこの早春の中にある。緑の柳の木に黄色がかった新芽が芽生えてくる、まさにこの季節だ。
長安の城内に花が咲き誇り、錦のように美しくなるころには、花を愛でる人々でいっぱいになるだろう。
「城東早春」は、唐代の詩人楊巨源(755- ?年)の七言絶句。
この詩は、早春の素晴らしさを詠んだものです。
楊巨源は、中唐の詩人で、蒲中(現在の山西省蒲県)の人。貞元5(789)年に進士となり、太常博士や禮部員外郎、国子司業などを歴任します。白居易、元稹とも交遊がありました。
この詩がいつ詠まれたのか、その詳細は不明ですが、楊巨源は長安での在任期間が長いため、その間に詠んだものと思われます。
詩人というものは清新な風景を好み、それは柳が芽吹くまさに今の季節にある、と楊巨源は言います。
そして、長安が花で彩られる頃には、人々は花を愛でるために出かけるが、本当の美しさは錦のように色彩あふれる季節ではなく、生命が躍動を始める早春の今なのだと強調します。
唐の時代、科挙に合格すると、皇帝主催の花見の宴が杏花園で開かれていました。ですから、花で鮮やかに彩られる季節には、新たに科挙試験に合格した人々が、喜びと期待の思いを抱えて長安に馳せ参じ、花見を楽しむことになります。しかし、長安の美しさは、そこにはなく早春にあるのだとの意味も含まれているようです。
今まさに花々が咲き乱れる時、中国は労働節の連休を迎えます。
各地の名勝地は、花だけでなく自然を楽しみたい人々であふれかえることでしょう。
しかし、そこには本当の美しい景色はないのかもしれません。
参考:《唐诗鉴赏辞典 新一版》2013年,上海辞书出版社,802-803页
https://so.gushiwen.org/shiwenv_084ce32f28bf.aspx
寝転びて空を仰ぐに風清し君の寝息を恋文と聞く cogito