杜牧の詩「斉安郡後池絶句」に思う

        斉安郡後池絶句

        杜牧 〔唐代〕

菱透浮萍緑錦池,夏莺千啭弄蔷薇。

尽日無人看微雨,鴛鴦相対浴紅衣。

 

池は菱と浮き草が織りなす美しい緑の錦を呈しており、池のほとりでは鶯がしきりに囀ずりながら薔薇の花と戯れている。
今日は終日人が来るあてもないので、しばし小糠雨を眺めながら過ごすとしよう。

池では鴛鴦たちが仲良く向かい合って水浴びをしているのが見える。

 

「斉安郡後池絶句」は、唐代の詩人杜牧(803-852年)の七言絶句。

この詩は、斉安郡の郡亭の後庭にある池を詠んだ詩です。

 

杜牧は晩唐の繊細な技巧的風潮を排し、平明で豪放な詩を作りました。

風流詩と詠史、時事諷詠を得意とし、艶麗と剛健の両面をもち、七言絶句に優れた作品を多く残しています。

杜甫の「老杜」に対し「小杜」と呼ばれ、また同時代の李商隠と共に「晩唐の李杜」とも称されます。

 

この詩は、黄州刺史を務めた842年4月から844年9月の間に詠まれたものと思われます。

 

雨の多い季節、うっとうしさを嘆くばかりではなく、時には静かに座して自然の織りなす風景を眺めながら、こころを遊ばせてみるのも良いかもしれません。

 

参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_e99781fcb425.aspx

 

 

涼やかにゼリー纏へる菓子ひとつ夏衣なる名と聞きて食む  cogito

 

 

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