柳宗元の詩「夏昼偶作」に思う

     夏昼偶作

      柳宗元 〔唐代〕

南州溽暑酔如酒,隠幾熟眠開北牖。

日午独覚無馀声,山童隔竹敲茶臼。

 

南国の永州の蒸し暑さは、まるで酒に酔ったかのようである。机に寄りかかって熟睡しようと、北側の窓を開ける。

真昼に、ひとり眠りから覚めるとひっそりとしており、山童が竹林で茶臼挽く音だけが聞こえる。

 

「夏昼偶作」は、唐代の詩人柳宗元(773-819年)の七言絶句。

この詩は、夏の昼の様子を詠んだものです。

 

柳宗元は、805年、永貞改新の政争に敗れ、改革派として政治犯の汚名を着せられ、長安から遠く離れた邵州へ刺史として左遷されます。その後更に格下の永州の員外司馬として再度左遷され、約10年間を永州で過ごします。

この詩は、807年に永州で35歳の時に詠んだものと言われています。

 

盛夏の暑気は、まるで酒に酔ったかのような眠気を誘います。詩人は、涼を呼び込もうと北側の窓を開けて、机にもたれながら眠ります。眠りから覚めると、音もなくひっそりとしていますが、よく耳を澄ますと、村の童子が竹林で茶葉を茶臼で挽いている音が聞こえてきます。

 

童子が挽く茶の香りまで漂ってきて、一服のお茶をいただいたような清涼感を味わえる詩です。

暑さと雨のうっとうしさについついやる気を奪われてしまう季節ですが、しばし自然の音に耳を傾けながら新茶をいただき、リラックスするのもいいでしょう。

きっと新茶の爽やかな味わいが気力を充実させてくれるはずです。

 

参考:https://so.gushiwen.org/gushi/xiatian.aspx

 

蝉の羽の如き羅身に纏ひ短き夜にひとり茶を点つ  cogito

 

 

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