孟浩然の詩「夏日浮舟過陳大水亭 / 浮舟過滕逸人別業 」に思う
夏日浮舟過陳大水亭 / 浮舟過滕逸人別業
孟浩然 〔唐代〕
水亭涼気多,閑棹晩来過。
澗影見松竹,潭香聞芰荷。
野童扶酔舞,山鳥助酣歌。
幽賞未雲遍,煙光奈夕何。
夏の日の水亭はことのほか涼しく、水中に松や青竹が映り込み、水の淵からは蓮の香りが漂ってくる。村の翁は童子に支えられながら酔って千鳥足で舞うように歩いている。山では鳥たちが思う存分歌っている。このような清々たる閑寂な境界にいると帰るのを忘れてしまう。
「夏日浮舟過陳大水亭」(「浮舟過滕逸人別業」とする出典もある)は、唐代の詩人孟浩然(689-740年)の五言律詩。
この詩は、夏の日に舟に乗って陳大水亭に遊んだ様子を詠んだものです。
場所や時期などの詳細はわかっていません。
詩人は、夏の日に舟で涼やかな水の上で時を過ごします。
水に映り込む松や竹の青さや蓮の香り、鳥の囀りなどが心地よく詩人を陶酔させます。
閑寂な世界で心穏やかな時間を過ごしているとつい帰るのを忘れ、いつまでもこの時に浸っていたいという心情の吐露が、読む者の共感を誘う詩だと思います。
孟浩然は、王維とともに「王孟」と並称され、山水自然派の詩人として知られています。
王維が自然の静的な面を淡々と客観的に詠んでいるのに対して、より主観的に自然を人間に親しいものとしてとらえる傾向の詩が多く見られます。
参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_d19360437a28.aspx
久々の青空に映ゆる白き雲アイスティーにもフルーツを添ふ cogito