徐夤の詩「初夏戯題」に思う

        初夏戯題 

         徐夤 〔唐代〕 

長養薰風払暁吹,漸開荷芰落蔷薇。

青虫也学荘周夢,化作南園蛱蝶飛。

 

万物を育て養う薫風が暁に吹き、しだいに蓮と菱の花が咲き、薔薇の花が散っていく。

青虫もまた荘周の夢の故事を学び、南の果樹の畑で、アゲハチョウとなって飛んでいる。

 

「初夏戯題」は、唐代の詩人徐夤(生没年不詳)の七言絶句。

この詩は、初夏に戯れに題して詠んだ詩です。

徐夤は、莆田(現在の福建省莆田市)の人。進士に挙げられ、祕書省正字を授かります。

晩唐から五代にかけて活躍した文学者で、博学多才の人だったようです。

 

詩人は、初夏の夜明けの爽やかな風景と気分を詠んでいます。

初夏の夜が明ける頃、若葉を薫らせて吹く爽やかな風が吹き、蓮や菱の花が咲き始め、季節を終えた薔薇は、花を散らせていきます。

青虫は荘周(荘子)が夢で蝶になり、自分が夢で蝶になっているのか、蝶が夢で自分になっているのかと迷った故事(出典『莊子・齊物論』)を学んで知っているかのように、南の果樹園でアゲハチョウとなって飛んでいます。

 

参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_0ea5e4ed9f9b.aspx

 

 

輝ける日日草の白き花梅雨明け近き朝日を受けて  cogito

 

 

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