元稹の詩「詠廿四気詩·小暑六月節」に思う

詠廿四気詩·小暑六月節 

                  元稹 〔唐代〕

倏忽温風至,因循小暑来。

竹喧先覚雨,山暗已聞雷。 

戸牖深青霭,階庭長緑苔。 

鷹鸇新習学,蟋蟀莫相催。

 

急に風が温かくなったと思ったら、小暑がやってきたのだ。

竹林から聞こえてくる喧噪に雨が降り出したことを知り、山の辺りが暗くなったと思いきやすでに雷鳴が轟き始めている。

雨によって門や窓には湿った青靄(せいあい)がかかり、庭には緑の苔が伸びていく。

鷹(タカ)や鸇(ハヤブサ)は、獲物を捕らえる練習を始め、蟋蟀(コオロギ)は羽が伸び始めている。

 

「詠廿四気詩·小暑六月節」は、唐代の詩人元稹(779-831年)の五言律詩。

この詩は、二十四節気の一つである小暑を詠んだものです。

風が急に熱く感じられるようになり、詩人は小暑を迎えたことを知ります。

竹林から聞こえてくる激しい音で大雨が降っていることを知ります。山の周辺が暗くなったと思えば、すでに雷鳴が轟いています。

降り続く雨で門や窓は湿気を多く含み、青みを帯びた靄がかかっています。庭には青々とした苔がさらに成長しています。

タカやハヤブサは、空中を飛び、獲物を捕らえる練習を始めています。蟋蟀の翅は伸び始め、啼く準備が始まっています。

 

小暑は二十四節気の11番目、六月節(旧暦5月後半から6月前半)とも呼ばれ、梅雨も終盤を迎え、本格的な暑さを迎えるころです。

元稹は、二十四節気を二十四首の五言律詩で詠んでおり、この詩は、その中の一つです。

中国の中原地方の小暑の頃の風物が豊かな観察眼を通して生き生きと描かれています。

 

参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_4da8d68cdfe3.aspx

 

季節の移り変わりに合わせて毎年繰り返し行われてきた自然と人々の営みですが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、状況が一変したように思います。

コロナに振り回される生活に終止符が打たれるのは、いつになるのでしょうか。

 

おくんちの小屋入りの日に長崎は暑くて熱き夏を迎へり   cogito

 

 

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