杜甫の詩「又示宗武」に思う
又示宗武 杜甫
覓句新知律,攤書解滿床。
試吟青玉案,莫羨紫羅囊。
假日從時飲,明年共我長。
應須飽經術,已似愛文章。
十五男兒誌,三千弟子行。
曾參與遊夏,達者得升堂。
あなたは最近ではすでに詩の格律に従って詩を書くことができるようになり、机の前に坐って積み上がった本を広げて読むこともできるようになった。
これからは『四愁詩』のような古詩を吟唱してみたら良い。まちがっても香袋で遊ぶような謝萱の遊びをしようとしてはならない。
休みの日にたまに酒を飲むのはよいが、来年は私と同じくらいにまで成長してほしいものです。
あなたの年頃には、たくさんの詩や本を読み、修辞のすばらしさも理解していなければならない。
15歳といえば、男にとっては学問を志す時期です。孔子には三千人の弟子がいました。
曾參や遊夏のように、徹底して学んだ人だけが出世できるのです。
「又示宗武」は、唐代の詩人杜甫の五言排律です。
この詩は、杜甫が寵愛する次男の宗武に宛てた詩で、杜甫の子供に対する無限の期待が込められています。
杜甫は、宗武が詩を詠むことを学んでいるのを見て喜び、子供に、勉強に集中すること、物で遊ばないこと、規律ある生活をすること、そして何よりも、儒教の古典作品を熱心に学び、曾參や遊夏のような賢人を手本にして粘り強く努力することを勧めています。
杜甫の家は代々地方官でしたが、祖父は「文章四友」(唐代の杜審言・李嶠・崔融・蘇味道)の一人であり、初唐の宮廷詩人としても有名です。杜審言の子の杜閑が奉天の県令となり、その子が杜甫です。杜甫は、詩作は杜家の家業とも語っています(“诗是吾家事”)。
唐代の偉大な現実主義詩人である杜甫は、幼少の頃から詩文の才能があったといいます。
李白と並ぶ中国文学史上最高の詩人として、李白の「詩仙」に対して、「詩聖」として崇められ、その詩は「詩の歴史」ともいわれます。
また、杜甫と李白を併称して「李杜」と呼び、晩唐の詩人李商隠と杜牧が「小李杜」と呼ばれているのと区別するために、「大李杜」とも呼びます。
祖国と民衆を大切にする高貴な人柄で、約1,400編の詩が残されており、その詩は中国古典詩の中でも高く評価されています。
そうした杜甫ですから、息子に対する期待も大きかったと思われます。
杜甫の父親としての一面を知ることのできる貴重な詩ともいえるでしょう。
この詩の他に、宗文と宗武の二子にあてて書かれた詩「熟食日示宗文宗武」が残っています。
参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_c4604028f322.aspx
子を持たぬ吾に託さるる代代の土地権利証春風に飛ぶ cogito