陸龜蒙の詩「白蓮」に思う
白蓮
陸龜蒙〔唐代〕
素蘤多蒙別豔欺,此花端合在瑶池。
無情有恨何人覚,月暁風清欲堕時。
上品な白い蓮の花は、よく他の艶やかな色の花から虐げられる。
高潔で汚れのないこの花(白蓮)は、まことに仙界の瑶池にあるべきである。
情がないとはいえ恨みはあることを、誰が悟っていただろうか。
残月の暁に風が清々しく、まさに花が散ろうとするこの時に。
「白蓮」は、唐代の詩人陸龜蒙(?-881年)の七言絶句。
この詩は、白蓮の姿をみながら自分の心情を詠んだものです。
蓮池の中に咲く花の中でも白い花は数も少なく、華やかに咲く紅い花たちからは、いつも虐げられているように見えます。
高潔で汚れのない白蓮は、本来この池ではなく、仙人が住む所の瑶池で咲くべきなのだと詩人は語ります。花がまさに散ろうとする時に、自分がいるべき場所はここではなかったと悟っても遅いのです。
詩人自身もまた、俗界を離れた清浄な世界に住むべきであった、しかし、それに気がつくのが遅かったという後悔の念が重ねられているのでしょうか。
それとも、そうならないために、この場所への執着を棄てるべきだという思いの表出なのでしょうか。
様々な想像をかき立てられる詩です。
参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_bb19fa66ac26.aspx
出かけ際シグナルレッドのベゴニアの今日も問ひたる辞書は持つたか cogito