張敬忠 の詩「邊詞」に思う

     邊詞

         張敬忠 〔唐代〕

五原春色舊來遲,二月垂楊未掛絲。

即今河畔冰開日,正是長安花落時。

 

もとより五原(現在の內蒙古自治区五原縣)は春の訪れが遅いところであり、二月(陰暦二月:仲春)になっても、まだ垂れ柳は芽吹いていない。

たった今、川辺の氷が溶け始めたが、ちょうど長安は花が散っている時分であろう。

 

「邊詞」は、唐代の詩人張敬忠(生没年不詳)の七言絶句。

この詩は、辺境の荒涼とした風景と仲春の長安の風景を比較し、帝都長安のために寒冷な北辺を守る将兵たちの郷愁の念が表現されています。

 

張敬忠は、初唐の詩人で京兆(現在の陝西省西安)の人。監察御史のとき、将軍張仁悳に認められ、北辺の地に出陣して信任を受けます。

この詩は、この時期に詠まれたものと思われます。

この後、吏部郎中となり、開元7(719)年に平盧節度使に任命されます。さらに、河西節度使、益州大都督府長史、劍南節度使、河南尹、太常卿などを歴任しています。

詩はわずか二首のみしか残されていません。

 

参考:《唐诗鉴赏辞典 新一版》2013年,上海辞书出版社,74-75页

https://so.gushiwen.org/shiwenv_2118a89600a4.aspx

 

 

筍を掘りて湯掻きて味付けし母の来たる日遠くなりたり   cogito

 

 

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