孟浩然の詩「夏日浮舟過陳大水亭 / 浮舟過滕逸人別業 」に思う
夏日浮舟過陳大水亭 / 浮舟過滕逸人別業
孟浩然 〔唐代〕
水亭涼気多,閑棹晩来過。
澗影見松竹,潭香聞芰荷。
野童扶酔舞,山鳥助酣歌。
幽賞未雲遍,煙光奈夕何。
夏の日の水亭はことのほか涼しく、水中に松や青竹が映り込み、水の淵からは蓮の香りが漂ってくる。村の翁は童子に支えられながら酔って千鳥足で舞うように歩いている。山では鳥たちが思う存分歌っている。このような清々たる閑寂な境界にいると帰るのを忘れてしまう。
「夏日浮舟過陳大水亭」(「浮舟過滕逸人別業」とする出典もある)は、唐代の詩人孟浩然(689-740年)の五言律詩。
この詩は、夏の日に舟に乗って陳大水亭に遊んだ様子を詠んだものです。
場所や時期などの詳細はわかっていません。
詩人は、夏の日に舟で涼やかな水の上で時を過ごします。
水に映り込む松や竹の青さや蓮の香り、鳥の囀りなどが心地よく詩人を陶酔させます。
閑寂な世界で心穏やかな時間を過ごしているとつい帰るのを忘れ、いつまでもこの時に浸っていたいという心情の吐露が、読む者の共感を誘う詩だと思います。
孟浩然は、王維とともに「王孟」と並称され、山水自然派の詩人として知られています。
王維が自然の静的な面を淡々と客観的に詠んでいるのに対して、より主観的に自然を人間に親しいものとしてとらえる傾向の詩が多く見られます。
参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_d19360437a28.aspx
久々の青空に映ゆる白き雲アイスティーにもフルーツを添ふ cogito
中国メディアが伝える「中国高速鉄道所要時間マップ」
日本の中国鉄道時刻研究会がSNSで、一目でわかる「中国高速鉄道所要時間マップ」を発表し、日本と中国で話題となっていると中国メディアが伝えています。
記事は、以下のように中国の発展と中国高速鉄道の素晴らしさを記述しています。
この一見シンプルなマップから、改革開放スタート以降の中国の破竹の勢いでの発展スピードと驚嘆すべき発展能力がうかがえる。現在、中国の鉄道営業距離は14万6300キロメートルで世界2位、このうち高速鉄道は3万8千キロメートルで世界一だ。時速数十キロメートルの各駅列車から数百キロメートルで走る高速鉄道「復興号」や「和諧号」、さらにはリニアモーターカーや国際定期貨物列車「中欧班列」まで、中国の鉄道は「海外進出」に大きく踏み出し、独自の知的財産権を備えた高速鉄道建設・設備製造技術体系を構築した。
鉄道は国民経済の大動脈であり、経済社会の発展推進を支え、けん引する上で重要な役割を果たす。中国鉄道は交通の難所だった「天険」を「通行ルート」に変え、そのスピードは驚異的だ。今後、大国の「動脈」はさらに発展し前進して、中国経済と世界経済の高速発展をけん引するだろう。
日本発「中国高速鉄道所要時間マップ」が中国のスピードを証明--人民網日本語版--人民日報 (people.com.cn)
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李白の詩「白田馬上聞鶯」に思う
白田馬上聞鶯
李白 〔唐代〕
黄鹂啄紫椹,五月鳴桑枝。
我行不記日,誤作陽春時。
蚕老客未帰,白田已缫絲。
駆馬又前去,捫心空自悲。
黄鶯(コウライウグイス)は、紫色の桑の実を啄み、5月になり桑の木の枝で啼いている。
私はすっかり今日がいつなのかわからなくなってしまい、今はまだ陽春だとばかり思っていた。
蚕はすでに成長したが、客はいまだに帰って来ない。白田の地方では蚕の繭から絹糸を取り出しはじめている。
馬を走らせ前に向かって進んではいるが、胸に手をあてると心は空しく自ずと悲しみが広がる。
「白田馬上聞鶯」は、唐代の詩人李白(701-762年)の五言律詩。
この詩は、初夏の風景に自分の心情を重ねて詠んだものです。
5月になり、黄鶯は桑の木の枝で実を啄んでは啼いています。詩人はまだ正月だと思っていたのに、すでに季節は初夏を迎えていることに気付きます。
桑の葉を食んでいた蚕は生長し、繭を作り、ここ白田の地方では、すでに繭から絹糸を取り出す作業が始まっています。
自然の生き物は確実に時を刻みながら成長していきます。そこに暮らす人々も自然とともに生きながら収穫を得て生活しています。
しかし、詩人は、馬を前に走らせてはいますが、期待していた理想の生活はなかなか訪れず、日々だけが空しく過ぎていきます。その自分の現状を改めて振り返り、深い悲しみを感じるのです。
李白は、壮大な政治的理想をもった詩人でした。しかし、現実は理想とはかけ離れ、出世の道も思うようには進めず、放浪の生活を続けます。この詩は、李白が白田(現在の江蘇省宝応縣白田渡)を放浪していた際に作ったものと思われます。
参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_05fab4d9e3fc.aspx
掻き集め再構成を試みむ果たして埋まらぬ心のパズル cogito
中国上海、第10回中国花卉博覧会始まる
5月21日から7月2日までを会期とする「第10回中国花卉博覧会(花博会)」が上海市崇明区で始まりました。
今回の花博会場は、北園と南園で構成され、総面積は589ヘクタール。自然に対する尊重、生態基盤の保持、田園風景の演出という設計コンセプトが全体計画に盛り込まれ、今回の博覧会のテーマは「中国の夢に花を咲かせる」となっています。
第10回中国花卉博覧会が開幕 上海--人民網日本語版--人民日報 (people.com.cn)
中国共産党が100周年を迎える今年は、国内で様々なイベントが企画されています。
中国共産党創立100周年祝賀行事の詳細発表 --人民網日本語版--人民日報 (people.com.cn)
上海の中国共産党第1回党大会跡地に隣接する形で2019年8月に着工した記念館も中国共産党創立100周年祝賀活動の一環で、7月1日前にはオープンしそうです。
常設展示ホールは建築面積約3700平方メートルで、中国共産党創立初期の上海での革命の実践に焦点を合わせ、実物600点余りを含む1000点余りが展示される予定です。
http://j.people.com.cn/n3/2021/0521/c94474-9852790.html
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柳宗元の詩「夏昼偶作」に思う
夏昼偶作
柳宗元 〔唐代〕
南州溽暑酔如酒,隠幾熟眠開北牖。
日午独覚無馀声,山童隔竹敲茶臼。
南国の永州の蒸し暑さは、まるで酒に酔ったかのようである。机に寄りかかって熟睡しようと、北側の窓を開ける。
真昼に、ひとり眠りから覚めるとひっそりとしており、山童が竹林で茶臼挽く音だけが聞こえる。
「夏昼偶作」は、唐代の詩人柳宗元(773-819年)の七言絶句。
この詩は、夏の昼の様子を詠んだものです。
柳宗元は、805年、永貞改新の政争に敗れ、改革派として政治犯の汚名を着せられ、長安から遠く離れた邵州へ刺史として左遷されます。その後更に格下の永州の員外司馬として再度左遷され、約10年間を永州で過ごします。
この詩は、807年に永州で35歳の時に詠んだものと言われています。
盛夏の暑気は、まるで酒に酔ったかのような眠気を誘います。詩人は、涼を呼び込もうと北側の窓を開けて、机にもたれながら眠ります。眠りから覚めると、音もなくひっそりとしていますが、よく耳を澄ますと、村の童子が竹林で茶葉を茶臼で挽いている音が聞こえてきます。
童子が挽く茶の香りまで漂ってきて、一服のお茶をいただいたような清涼感を味わえる詩です。
暑さと雨のうっとうしさについついやる気を奪われてしまう季節ですが、しばし自然の音に耳を傾けながら新茶をいただき、リラックスするのもいいでしょう。
きっと新茶の爽やかな味わいが気力を充実させてくれるはずです。
参考:https://so.gushiwen.org/gushi/xiatian.aspx
蝉の羽の如き羅身に纏ひ短き夜にひとり茶を点つ cogito
2020年中国都市部の平均賃金が発表される
国家統計局は19日、2020年の都市部で働く人の平均賃金データを発表しました。
20年の全国都市部の非民間機関・企業で働く人の平均賃金(年収ベース、以下同)は前年比6878元増の9万7379元(1元は約17.0円)に上り、名目賃金上昇率は7.6%で19年に比べて2.2ポイント低下。物価変動要因を考慮した実質賃金上昇率は5.2%。
20年の全国都市部の民間機関・企業で働く人の平均賃金は前年比4123元増の5万7727元で、名目で7.7%上昇し、上昇率は前年比0.4ポイント低下。物価変動要因を考慮した実質賃金上昇率は5.3%。
地域別に見ると、民間・非民間ともに平均賃金は高い順に、東部、西部、中部、東北地域となっています。
業界別では、非民間機関・企業の平均賃金のトップ3は、情報伝達・ソフトウェア・情報技術(IT)サービス業の17万7544元、科学研究・技術サービス業の13万9851元、金融業の13万3390元。
ワースト3は農林牧漁業の4万8540元、ホテル・飲食業の4万8833元、住民サービス・メンテナンス・その他のサービス業の6万722元。
http://j.people.com.cn/n3/2021/0520/c94476-9852161.html
まだまだ日本の水準には及びませんが、年ごとに確実に上昇しているためか、中国の人々の顔には「希望」が感じられるように思います。
祝您有个美好的一天!(良い一日を!)
杜牧の詩「斉安郡後池絶句」に思う
斉安郡後池絶句
杜牧 〔唐代〕
菱透浮萍緑錦池,夏莺千啭弄蔷薇。
尽日無人看微雨,鴛鴦相対浴紅衣。
池は菱と浮き草が織りなす美しい緑の錦を呈しており、池のほとりでは鶯がしきりに囀ずりながら薔薇の花と戯れている。
今日は終日人が来るあてもないので、しばし小糠雨を眺めながら過ごすとしよう。
池では鴛鴦たちが仲良く向かい合って水浴びをしているのが見える。
「斉安郡後池絶句」は、唐代の詩人杜牧(803-852年)の七言絶句。
この詩は、斉安郡の郡亭の後庭にある池を詠んだ詩です。
杜牧は晩唐の繊細な技巧的風潮を排し、平明で豪放な詩を作りました。
風流詩と詠史、時事諷詠を得意とし、艶麗と剛健の両面をもち、七言絶句に優れた作品を多く残しています。
杜甫の「老杜」に対し「小杜」と呼ばれ、また同時代の李商隠と共に「晩唐の李杜」とも称されます。
この詩は、黄州刺史を務めた842年4月から844年9月の間に詠まれたものと思われます。
雨の多い季節、うっとうしさを嘆くばかりではなく、時には静かに座して自然の織りなす風景を眺めながら、こころを遊ばせてみるのも良いかもしれません。
参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_e99781fcb425.aspx
涼やかにゼリー纏へる菓子ひとつ夏衣なる名と聞きて食む cogito