杜甫の詩「戲為六絕句·其二」に思う

   戲為六絕句·其二

              杜甫

王楊盧駱當時體, 王楊盧駱は 當時の體,

輕薄為文哂未休。 輕薄 文を爲して 哂ひ 未だ休まず。

爾曹身與名俱滅, 爾曹 身と名と倶に滅ぶも,

不廢江河萬古流。 廢れざる江河 萬古に流る。

 

王勃や楊炯、盧照鄰、駱賓王の「初唐四傑」は、当時新たな詩文の風格や形式を作り出した。しかし、浅薄な批評家は、文に著して、それを嘲笑し、今に到るもまだやむことなく続けている。

あなたがたのような浅薄な者の肉体や名声はともに滅んでも、「初唐四傑」は、尽きることのない長江や黄河のように、その名は永遠に伝えられていくのである。 

 

「戲為六絕句·其二」は、唐代の詩人杜甫の七言絶句。

この詩は、当時の文壇の一部にあった古きを重んじ、新しきを軽んじる風潮を批判して書いたものです。文芸批評に対する杜甫の姿勢が反映されています。

この詩で杜甫は、後に「初唐四傑」と呼ばれる王勃、楊炯、盧照鄰、駱賓王の文学的貢献と地位を明確に肯定し、その詩や文章は長く受け継がれ、その歴史的地位を否定することはできないとして、浅薄な批評家たちに警告を発しています。

 

杜甫は、社会の現状を直視し、社会や政治の矛盾を積極的に詩歌の題材として取り上げ、現実主義詩人といわれます。その叙述姿勢は「詩史(詩による歴史)」とも評され、後の白居易の風諭詩などに受け継がれてゆきます。

この詩では、文学批評における杜甫の冷徹な目が感じられます。

その目を杜甫は自らの詩作にも向けていたのでしょう。

襟を正して杜甫の詩を読んでいきたいと思います。

参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_b54135b8b616.aspx

 

 

 白板を消しつつ今日を省みる一字一句を検証せむと   cogito

 

 

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