李白の詩「春怨」に思う

     春怨   李白 

白馬金羈遼海東,羅帷繡被臥春風。

落月低軒窺燭盡,飛花入戶笑床空。

 

あなたは白馬に跨がり金色の羈を引いて遼海の東(遼東半島)を疾走しておられましょう。私は刺繍を施した帳の中で、錦の布団を掛けてひとり春風に吹かれております。

月は西に傾き、月光が窓越しに窺っています。

蝋燭の火は尽きようとしています。(しかし、まだ眠ることができません。)

花が散り、花びらが春風に舞って部屋の中に飛んできますが、一人で床につく私を笑っているようでもあります。

 

「春怨」は、唐代の詩人李白の七言絶句。

この詩は、女性が遙か彼方の地(遼東半島)で従軍する夫を思慕し、夜更けに眠ることができない切ない思いを表現したものです。

詩の全体を通して対句が整い、女性の心の内が見事に表現されています。

 

李白は、奔放で変幻自在な詩風から、後世に「詩仙」と称された浪漫主義の代表詩人です。

詩の内容は多彩で変化に富んでおり、女性を題材にした詩も多く、唐代詩人の中で最も多くの女性詩を詠んでいます。

李白が女性に対して、特に親愛の情を持っていたことを指摘した論考も見られます。

唐代に生きた女性たちの心情を代弁した詩人ともいえそうです。

 

参考:https://so.gushiwen.org/shiwenv_1c030eb1b389.aspx

 

 

毎月のわづらはしさと決別す女としての呪縛を解かれ   cogito

 

 

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